医師 めざせる学校を探す 資格の取得方法をみる

医師とは・・・

人々の健康と生命を守る

時代とともに医療の進め方が変わっても、医師が医療の中核を担うことに変わりはありません。原則的にみれば、医師は医療についてほぼオールマイティな存在ということができます。

たとえば、診療科には内科、外科、小児科、眼科など数多くの種類がありますが、医師はすべての診療科を診ることができます。診療所が、メインの診療科以外に複数の診療科を掲げることがあるのはこのためです。

また、医療分野には看護師をはじめ、臨床検査技師、診療放射線技師など医療技術系専門職、理学療法士、作業療法士などリハビリテーション系専門職があり、それぞれ国家資格化されていますが、医師はそのすべての業務を行うことができます。

しかし、実際には、診療科についていえば特定の診療科を専門とし、ほかの診療科の医師と役割を分担しています。医療現場では、看護師やそのほかの医療スタッフとともに「チーム医療」を推進しています。

つまり、現代の医師は、自らの専門性を発揮するとともに、ほかの医師や医療スタッフとの連携も重視しながら医療に従事しているのです。

仕事の内容

医師の職場は、病院と診療所が中心になるが、
診療科によって求められる知識&スキルは異なる!

病院の医師【病棟】

医師は、免許取得後2年間の卒後研修が義務づけられていて、内科、外科、小児科、救急部門など基本となる診療分野を中心に、関心の高い分野でも研修をします。通常はその後、専門にしたい診療科に所属します。各診療科における医師の仕事は病棟と外来に大別され、大半の医師は両方を兼務します。若手の医師ほど病棟のウエートが高く、外来は週に1日から半日ぐらいになります。これは、外来では経験が重要になるからで、病棟中心に経験を積み重ねて、外来のウエートを増やしていきます。

病棟では、入院患者ごとに主治医を決め、その主治医が責任をもって治療にあたります。規模の大きな病院などは複数の医師によるチーム制を採っていて、主治医を中心に数名の医師が定期的にカンファレンス(検討会)を行い、最善の治療方針を決定していくのが一般的です。

また、ほかの医療スタッフとの連携も必要です。各病棟に常駐している職種は看護師、病棟クラーク、看護助手などですが、中でも看護師との連携が重要で、1日に何回も報告を受けたり指示を出したりします。また、病院全体にかかわる職種として臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどがいますが、これらの医療スタッフには書面で指示や依頼をしたり、必要な場合はミーティングをしたりします。

病院の医師【外来】

外来の医師は、まず患者の話を聞き、診察をし、必要な検査をします。当日できる検査には、採血、尿検査、レントゲン、超音波検査、心電図などがあります。最近はこうした検査も30分内外で結果が出るので、その結果を踏まえて症状を判断します。すぐにできない検査は再度来院してもらいます。そして、必要な処置や薬の処方をし、入院が必要な場合は病棟にバトンタッチします。

外来では、経験に基づく的確な診療能力が求められます。症状はもちろん、入院が必要なのか外来で対応するのかも短時間で見きわめなければならないからです。そのため病棟で経験を積み、どういう状態なら入院なのか具体的にイメージできるようになることが求められます。

診療所の医師

診療所の医師(開業医)は、比較的症状の軽い患者を対象に、プライマリー・ケアを担います。プライマリー・ケアとは、患者が最初に接する医療において、総合的で適切な診断処置が行われ、療養について正確な指導が与えられることです。これには豊かな経験に基づく総合的な診療能力が必要であり、診療所の医師になるには、病院勤務などで経験を積むことが前提になります。

具体的に見ると、診療所の医師は、まず問診、視診、触診、聴診などによって患者を診察し、必要があればエックス線などの検査もします。そして、診断結果を踏まえて、処置、薬の処方などを行います。もし、より高度な医療が必要なときには病院を紹介します。その際、検査などのうち診療所でできることは済ませておき、患者の負担を軽減することも大切です。

また、日常の診療以外にも、自治体の依頼で行う健康診断、がん検診、乳幼児検診、健康相談などの仕事があります。ほかにも、学校医(幼稚園、保育所も含む)としての活動、健康に関する講演活動などがあり、こうした活動を通じて地域社会に貢献していきます。

行政機関などの医師

医師は、行政機関の職員としても活躍しています。国の行政機関としては厚生労働省があり、医師はその専門性を生かしながら医療行政全般に従事しています。都道府県庁では、公衆衛生に関する事業の企画や実施、医療機関の指導・監督、保健所の業務のとりまとめなどを行います。保健所では、健康相談、感染症予防、精神保健関係の活動など公衆衛生にかかわる仕事に従事します。なお、保健所の所長は医師が務めることになっています。

医学部教育のために、文部科学省から「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(以下、コア・カリ)が提示されています。これは、学生が身につけるべき実践的能力を明確化して示したもので、2017年度に改訂が行われ、2019年度からそれに基づく教育が行われています。学修時間数の3分の2程度でコア・カリを基にした内容、残り3分の1は各大学の個性あるプログラムを履修します。コア・カリでは、「医師として求められる基本的な資質・能力」「社会と医学・医療」「医学一般」「人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療」「全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療」「診療の基本」「臨床実習」について内容が示されています。ただ、具体的な科目や時間数・単位数などは各大学が設定します。

1年次から教養科目や基礎科学とともに基礎医学などを学び、2年次には社会医学や臨床医学も学び始めます。4年次後半までにより専門的な内容や診療の基本を学び、共用試験に合格して、4年次1〜2月以降に臨床実習に入ります。6年次後半は卒業試験・国家試験に備えます。

カリキュラムのイメージ

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