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歯科医師とは…

歯の健康を守り生活の質を高める

歯科医師は、歯や口腔の疾患の治療や予防を通じて人々の健康を守り、QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)の向上に貢献します。むし歯の治療はもちろん、歯並びの矯正、不正咬合(かみ合わせがうまくできない状態)の治療、歯周病と呼ばれる歯ぐきの疾患の治療、舌など口腔軟組織異常の治療、顎の異常の治療などを行います。職場は診療所、病院が大半ですが、ほかにも介護老人保健施設、教育・研究機関、行政機関、メーカーなどで活躍する歯科医師もいます。また歯科の標榜診療科(看板などに掲げることのできる診療科)は「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」がありますが、「歯科」の従事者が90%以上となっています。

仕事の内容

歯科医師の職場は診療所勤務が8割
歯と歯周病の治療を行い、虫歯の予防も行う

診療所の歯科医師【歯科】

診療所での仕事は、歯の治療と歯周病の治療が大きな柱になり、歯の治療には、保存(詰めものをして歯を残す)、補綴(欠けた歯を補うことで、歯冠補綴、部分義歯、総義歯などがある)という領域があります。歯科医師はまず、視診やエックス線検査によって症状を診断します。そして、治療方針を決め、患者に説明して同意を得たうえで治療を開始します(インフォームド・コンセント)。むし歯が歯の表面だけの場合は、悪い部分を削り、充填材を詰めます。むし歯が歯の内部や歯髄(神経)にまでおよんでいる場合は、歯内療法といって悪くなった部分や神経をきれいに取り、充填材で埋めます。症状が重く、歯の上部が失われている場合はかぶせものによって、歯を抜いた場合は義歯によって、欠けた部分を補います。

歯周病の場合、その原因は歯垢(プラーク)にあるので、軽度であれば歯垢を取り、ブラッシング指導をすることで症状を改善します。症状が重いときは歯ぐきを切開して膿を取ることもあります。むし歯などの予防も大切な役割です。診療所内では、歯科医師の指示のもとに歯科衛生士がブラッシングの仕方などを指導することが多くなっています。また、自治体と連携して妊婦の指導や乳幼児健診を行ったり、学校歯科医として児童・生徒の健診を担当したりすることもあります。

診療所の歯科医師【矯正歯科】

矯正歯科では、歯並びの悪さを直したり、かみ合わせの不具合を解消したりすることが歯科医師の役割です。診療所にもよりますが、歯自体の治療はしないこともあり、歯列矯正のために歯を抜く必要があるときでも、抜歯は一般歯科で行うというように役割分担するのが一般的です。

診療所の歯科医師【小児歯科】

小児歯科での仕事は、口や歯の大きさに違いはあっても一般歯科とほぼ同様です。ただ、小児の場合、乳歯から永久歯に生え替わるときに歯並びが悪くなることもあるので、矯正の要素も含めて治療を行うケースがあります。そして、治療や予防を通じて、子どもたちの歯や顎の発達を促していくことが重要な役割になります。

病院の歯科医師

病院は、歯科大学の付属病院とそれ以外の総合病院に分かれます。このうち歯科大学の付属病院の場合は、診療科が多いのが特徴です。病院ごとに異なりますが、代表的なものとしては、総合診療科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科(口腔の疾患の外科診療)などがあります。中には、スポーツ歯科、義歯、口臭、高齢者歯科、障害者歯科、口腔ケアなど専門的な診療科を持つところもあります。こうした歯科大学の付属病院では、歯科医師は診療科ごとに業務に従事し、専門性を高めていくことになります。一般の総合病院は、歯科、歯科口腔外科を置くところが大半です。

行政機関などの歯科医師

国の機関としては厚生労働省があり、政策づくりなどを含めて広く歯科保健行政を担当します。都道府県庁では、歯科保健に関する事業の企画立案、保健所における歯科業務のとりまとめ、地域の歯科医師会との連絡調整などを行います。保健所では、歯科診療および歯科衛生にかかわる業務に従事します。 また、歯みがき用品などのメーカーでは、歯科医師としての専門性を発揮しながら研究開発に携わります。

現状と将来の展望

歯の健康はきわめて重要です。もし、むし歯や歯周病などが原因で歯を失えば食生活に支障をきたし、全身の健康にまで影響をおよぼしかねません。そのため、厚生労働省と日本歯科医師会は「8020(ハチマル・ニイマル)運動」を推進しています。これは、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目標にしたものです。

また、本格的な高齢社会を迎えて、高齢者の歯科治療が重要性を増しています。高齢者向けの往診を積極的に行う歯科診療所や、高齢者歯科治療に力を入れる大学附属病院なども増えてきています。従って、歯科医師の役割は今後ますます重要になってきます。小児から高齢者までを対象に歯や口腔の健康を守り、生活の質の向上に貢献することは、これまで以上に大きな意義を持つことになるでしょう。

歯学部教育のため、文部科学省が「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」(以下、コア・カリ)を提示しています。コア・カリは卒業時までに身につける実践能力を明確化して示したもの。2017年度に改訂され、2019年度からそれに基づく教育が行われています。学修時間数の6割程度でコア・カリを基にした内容、残りの4割程度は各大学が特色を生かして設定した内容を履修します。 コア・カリでは、「歯科医師として求められる基本的な資質・能力」「社会と歯学」「生命科学」「歯科医療機器(歯科材料・器械・器具)」「臨床歯学」「シミュレーション実習(模型実習・相互演習(実習))」「診療参加型臨床実習」について学ぶべき内容が示されていて、具体的な授業科目などは各大学が設定します。

1年次は教養科目や基本的な資質・能力に関する科目、生命科学などから学び、2年次は社会と歯学、臨床歯学なども学び始めます。4年次後半までにより専門的な内容を学び、共用試験に合格後、5年次から臨床実習に入ります。6年次後半には卒業試験・国家試験に備えます。

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