看護師 めざせる学校を探す 資格の取得方法をみる

看護師とは…

治療と回復を助ける専門職

医師や他の医療関係職種と協力して患者の診断・治療を補助。
さらに、肉体的にも精神的にも傷ついた人々の療養を見守り、必要なケアをするのが『看護師』の仕事です。

編集協力/(公社)日本看護協会 http://www.nurse.or.jp/

仕事の内容

担当する患者の治療や処置を補助し、療養生活をサポート
看護チームとして、他のスタッフとの連携も重要

看護師は「傷病者などの療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者」と定められています。仕事内容は多岐にわたり、職場によって役割が異なります。

病院の看護師【病棟】

病棟で特徴的なのはチームで動くことです。病院にもよりますが、40〜50人の患者がいる病棟なら20〜30人ぐらいの看護師が配置されています。そして、どの患者を担当するかという受け持ち制をとることが多く、担当する患者の希望や治療上で重視すべきことなどを踏まえて看護計画を立て、看護を進めていきます。ただ、受け持ち制といっても日々の看護はチームで行いますから、チームとしての連携が重要になります。また、病棟勤務は夜勤があるのも特徴の1つです。

病院の看護師【外来】

外来の場合、最近は仕事の内容が高度化しています。現在は外来でも簡単な手術や検査を行うようになりました。昔なら2〜3日入院していたような治療や処置が外来で行われているのです。外来の看護師の大きな役割の1つは、そうした治療や処置の補助をすることです。また、生活習慣病を抱える患者の療養生活を相談・助言によって支えていくことも外来の重要な役割です。そのための的確な対応ができる能力と経験が必要になるので、新人は病棟勤務からスタートする傾向にあります。

診療所の看護師

診療所は、地域との結びつきが強く、かかりつけの患者が多くなります。それも生活習慣病のような慢性疾患を抱えた患者が多いのが特徴です。従って、診療の補助に加えて、そうした人々の生活に即した健康相談や助言が看護師の重要な役割になります。たとえば、何か病気を抱えていても、薬、食事、運動などによってコントロールできれば、入院するような重い状態になることを防げるわけです。つまり、診療所では健康な状態を長く保つようなかかわり方が大きな意味を持ち、そうした看護を実践できる能力が求められています。

訪問看護ステーションの看護師

入院期間が短くなる傾向がある中で、在宅で療養しながら生活する人が増えています。また、終末期を住み慣れたわが家で過ごしたいというニーズも多くあります。これらの生活を支えるのが訪問看護です。1人〜2人で訪問することになりますが、患者および介護する家族も含めた状況を的確に判断し、その状態に合わせた看護を進めることが大切です。また、医師やケアマネジャー、介護職との連携も重要になります。

福祉施設の看護師

福祉施設も看護師の重要な職場の1つです。中でも老人福祉施設で活躍する人が増えています。特別養護老人ホームなどは医師が常駐していないところも多く、看護師は、利用者の生活を健康面から支える役割を果たします。高齢者の場合は健康状態が不安定なことが多いため、デリケートな健康管理が重要になります。利用者一人ひとりの体調の予測をつけることも大切です。たとえば心や体の変調をキャッチし、具合が悪くなる前に医師に診てもらうなど、一歩先を見通す力が必要です。

企業・事業所の看護師

企業などの事業所では、企業内クリニックや健康を管理するセクションがあります。企業内クリニックにおける看護師の役割は診療所とほぼ同じです。それとは別に従業員の健康を管理する部署として健康管理室などがあります。こういう部署では、従業員の疾病予防や健康増進のための活動をします。職場環境が従業員の健康を損なうものになっていないかチェックして改善策を提案する役割もあります。また、従業員の心の健康にかかわることもあり、相談に乗ってサポートしながら問題の解消を図っていきます。

養育施設の教育内容

看護を取り巻く環境は急速に変化しています。そのため看護職の基礎教育においても、科学的思考を基盤とした看護の実践力、保健・医療・福祉全般にわたる広い視野と高い見識、幅広く深い教養と豊かな人間性の養成が求められるようになりました。看護師養成施設(3年課程)での学習内容は、「基礎分野」(13単位)、「専門基礎分野」(21単位)、「専門分野Ⅰ」(13単位)、「専門分野Ⅱ」(38単位)、「統合分野」(12単位)で構成されています。各分野とも法令では「教育内容」が示されているだけなので、学校ごとに特色ある教科・科目を開講し、確かな技術と豊かな人間性を併せ持った看護師の育成に力を入れています。

基礎分野

基礎分野の教育内容は「科学的思考の基盤」と「人間と生活・社会の理解」の2つです。「科学的思考の基盤」では、専門基礎分野や専門分野の基礎となる科目を学びます。科目は各学校が決めますが、たとえば、哲学、倫理学、科学史、数学、化学、物理、外国語などがあります。「人間と生活・社会の理解」では、人間を幅広く理解するための科目を学びます。例としては、心理学、社会学、人間関係論などがあります。

専門基礎分野

専門基礎分野は、看護学を学ぶ上での基礎となる「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」「健康支援と社会保障制度」の3つで構成されています。「人体の構造と機能」と「疾病の成り立ちと回復の促進」では、人体を系統立てて理解し、健康や疾病に関する観察力、判断力を養います。科目例としては、解剖生理学、生化学、栄養学、薬理学、病理学、微生物学、病態生理学、診断学などがあります。「健康支援と社会保障制度」の科目例としては、社会福祉学、社会保障論、家族社会学、公衆衛生学、関係法規などがあります。

専門分野Ⅰ・Ⅱ

[専門分野Ⅰ※臨地実習を含む]

  1. ●基礎看護学
    各看護学および在宅看護論に共通する基礎的理論や基礎的技術を学びます。また、チーム医療・看護ケアにおける看護師としての調整、リーダーシップ、マネジメント能力を養成します。

[専門分野Ⅱ※各臨地実習を含む]

  1. ●成人看護学
    成人期の特徴に基づいた看護を学ぶとともに、疾病・障害に関する看護の基本も修得します。
  2. ●老年看護学
    老年期の特徴を理解し、老化に応じた看護と健康障害を持つ老人とその家族に対する看護についても学びます。
  3. ●小児看護学
    小児各期の特徴を理解し、成長・発達に応じた養護と、健康障害を持つ小児とその家族の看護も学びます。
  4. ●母性看護学
    健全な母性の発展、母性保健活動における看護の役割を理解し、妊婦・産婦・じょく婦・新生児とその家族の看護について学びます。
  5. ●精神看護学
    精神の健康の保持増進と精神障害時の看護を総合的に学習します。

総合分野

統合分野は「在宅看護論」と「看護の統合と実践」の2つで構成されています(臨地実習を含む)。
「在宅看護論」では、地域(在宅)で療養する人々とその家族を理解し、在宅における基礎的な看護技術を身につけます。また、介護スタッフ等の他職種と共働する中での看護スタッフの役割も学びます。「看護の統合と実践」では、組織における看護師の役割を理解し、緊急・突発的な事柄が発生した際に適切な判断・対応ができるように、実務に即した実習を行います。

資格の取得方法

看護師になるには、厚生労働省が行う看護師国家試験に合格し、看護師の免許を取得しなければなりません。厚生労働省・文部科学省の指定する看護師養成施設を卒業して得られるのは看護師の資格ではなく、看護師国家試験を受けるための受験資格です。卒業後、国家試験に合格し、都道府県知事を通して厚生労働大臣に免許の申請を行い、免許証が交付されてはじめて「看護師」になることができるのです。

国家試験の受験資格

看護師国家試験の受験資格は以下の通りです。

  1. ❶高等学校を卒業した後、文部科学大臣の指定した大学の看護課程において4年以上修学し、看護師になるために必要な学科を修めた者。
  2. ❷高等学校を卒業した後、文部科学大臣の指定した短期大学の看護課程において3年以上修学し、看護師になるために必要な学科を修めた者。
  3. ❸高等学校を卒業した後、厚生労働大臣の指定した看護師養成所において3年(昼間定時制あるいは統合カリキュラムの場合は4年)以上修学し、看護師になるために必要な学科を修めた者。
  4. ❹高等学校を卒業している准看護師、もしくは最終学歴中学校卒業で3年以上業務経験のある准看護師のうち、看護師養成所2年課程において2年(業務経験10年以上の准看護師は通信制の養成所への進学も可)、定時制の場合は3年以上修学し、必要な学科を修めた者。
  5. ❺外国の看護学校を卒業した者、または外国において看護師免許を取得した者で、厚生労働大臣が前記の❶、❷、❸と同等以上の知識および技能を有すると認めた者。

▼教育機関を選んでクリックしてください。(※別窓で一覧が表示されます)

大学   短期大学   専門学校ほか