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歯科技工士とは…

工学的知識を駆使して“歯”を作成する

歯科医師の指示のもと、工学的知識と技術を駆使して、義歯や歯冠をつくる専門の技術者が『歯科技工士』。
患者一人ひとりに調和する歯をつくるプロフェッショナルです。

編集協力/(公社)日本歯科技工士会 http://www.nichigi.or.jp/

仕事の内容

歯科医師が採取した患者の歯型に合わせて義歯や歯冠を作る
患者一人ひとりに合わせる、調和感覚も必要

歯科技工士の業務について、歯科技工士法では「特定人に対する歯科医療の用に供する補綴物、充填物または矯正装置を作成し、修理し、または加工すること」と定められています。歯科技工士は、歯科医師の指示のもとに患者一人ひとりに合った義歯や歯冠を作成して歯科治療を補佐する専門技術者です。
全部床義歯(総入れ歯)、部分床義歯(部分入れ歯)、架工義歯(ブリッジ)、金冠(クラウン)などを作成するには歯科医師が採取した患者の歯型に合わせて、金属、セラミックなどの材料を加工し、磨いて仕上げるという手作業が欠かせません。また、歯科医学の基礎的な知識に裏付けられた高度な技術が必要です。このような熟練した仕事をするために必要な条件は次の3つにまとめることができます。

工学的知識

義歯の材料は常に研究開発され、現在では、ポーセレン(陶材)やレジン(樹脂材)、各種合金、セラミックやプラスチックなど多種多様な材料が使用されています。歯科技工士は、これらの材料に関する、材質や特質などの工学的知識を熟知したうえで製作にあたります。

職人的技術

義歯は、患者一人ひとりの歯型に合わせて作成されます。いわば、2つとない手づくりのオリジナル商品なので、より確かな技術が求められます。

調和感覚

歯科医療のうえでは完全な義歯であっても、患者の顔に調和しなければ完全とはいえません。歯科技工士には自然な調和感覚も必要となります。

現状と将来の展望

むし歯は、文化が発達すればするほど、かかる率が高くなるといわれています。また、社会の高齢化が進むにつれ、治療を必要とする高齢者の数が増し、歯科医療の需要がますます高くなることは容易に予想されます。同時に技術の発展・向上が求められることも確かです。こうした社会的背景からみても、歯科医療にかかわる歯科技工士は、将来性があり、やりがいのある仕事といえるでしょう。
免許取得後は、歯科を持つ総合病院や、歯科大学の附属病院へ就職する道もありますが、有資格就業者の約95%は、歯科医院または歯科技工所に就職しています。
総合病院などに比べて規模の小さい歯科医院では、患者の義歯、歯冠または矯正装置を作成する際、歯科医師から直接指示を受けるので、患者一人ひとりに合った義歯などを、より丁寧につくりあげることができます。
一方、歯科技工所では、各医院に従事する歯科医師からの依頼によって義歯、歯冠などを作成します。複数の歯科医院から作成依頼があるため、受注が重なる忙しい時期には、残業することも珍しくありません。
こうして、歯科医院、歯科技工所などに勤務しながら熟練した技術を身につけた後、独立して歯科技工所を開業する道も開かれています。
また、科学の発達により、歯科医療が日々高度化する中、より高い技術を身につけようと、進学を希望する人も増えています。そのため、歯科技工士養成施設では免許取得後の進学に対応して、専攻科などを設置しているところもあります。卒業後は、研究者、歯科技工士養成施設の教師、義歯などの材料を取り扱う企業へ就職するなど、幅広い進路が考えられます。
現在、歯科技工士の有資格者は圧倒的に男性が多く、全体の約8割以上を占めています。しかし、繊細な作業を要する仕事の内容からみると、女性に適した職業であるともいえるでしょう。

資格の取得方法

歯科技工士のライセンスを得る最も一般的な方法は、高等学校卒業後、厚生労働大臣または文部科学大臣が指定する養成施設に入学し、必要な課程を修了した後、厚生労働大臣が実施する歯科技工士国家試験を受験して合格することです。ほかの医療系の資格と同様に、専門の養成施設を卒業して得られるのは、国家試験の受験資格であり、免許そのものではありません。

国家試験の受験資格

歯科技工士国家試験の受験資格は以下の通りです。

❶ 厚生労働大臣または文部科学大臣の指定する歯科技工士養成施設を卒業した者。
❷ 歯科医師国家試験または歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者。
❸ 外国の歯科技工士養成施設を卒業した者、または外国において歯科技工士の免許を受けた者で、厚生労働大臣が❶、❷に掲げる者と同等以上の知識および技能を有すると認めた者。

歯科技工士国家試験は年1回、国の指定する試験地で実施されます。試験は学説試験と実地試験に分かれ、科目は次の通りです。

[学説試験]
①歯科理工学、②歯の解剖学、③顎口腔機能学、④有床義歯技工学、⑤歯冠修復技工学、⑥矯正歯科技工学、⑦小児歯科技工学、⑧関係法規。

[実地試験]
①歯科技工実技。

ほかの医療系の国家試験では、実地試験が減少の方向にありますが、歯科技工士試験では重視されています。
それだけ歯科技工士には、技術力が求められているといえるでしょう。
過去の試験結果をみると、毎年1,000人程が受験し、全国平均で95%程度の合格率を保っています。養成施設でしっかり勉強すれば十分対応できるでしょう。

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