あん摩・マッサージ・指圧は、手のひらや指で身体に刺激を加えて血行を良くし、こりをほぐす療法です。
これらはそれぞれ独自の歴史を持つ別種の技術ですが、基本的動作が似ていることもあり、法律上は1つの資格になっています。
患部をもむ、さするなどの熟練を要する療法
さまざまな症状や患者の体質に応じた押し方をする
あん摩は東洋医学の徒手的療法の一部門で、手で「ツボ」をもむ、押す、さする、たたくといった方法を用いて神経や筋肉の機能を高めます。治療は身体の中心から手先・足先に向かって行います。肩こりや便秘、不眠、むくみなどに効果があるとされています。
マッサージは1887年にフランスから伝わってきた西洋医学理論に基づくもので、やはり患部をもむ、さするなどする療法です。ただしこちらは心臓を中心とする血管(主として静脈)を対象に、手足の先から心臓に向かって治療します。神経系や関節、筋肉系、ホルモン系に好影響を与えます。
この2つは効用も治療法も異なりますが、近年では両方を融合させ、より高い治療効果を上げています。
もう1つの指圧は、古来から東洋に伝わる抑按調摩(よくあんちょうま)の法、柔道の活法、導引の法などに基づいて発展してきた療法で、脊椎矯正法、圧迫操作法、運動操作法という3種類の方法があります。一般に知られるのは手のひらや親指で「ツボ」を押す圧迫操作法ですが、さまざまな症状や患者の体質に応じた押し方をしなければならず、熟練を要します。 しびれ、痛みなどの運動器系の病気だけでなく、胃潰瘍などの消化器系の病気や皮膚病などにも効果を発揮します。
東洋医学技術者の養成制度は、終戦直後の1945年頃から徐々に整備されてきました。東洋医学に対する関心の高まりとともに、養成施設や教育内容も充実してきています。
養成施設卒業後は、あん摩マッサージ指圧師として独り立ちすることになりますが、そのためには国家試験に合格して各資格を得ることが大前提です。資格があれば自由に開業できますが、それには確実に治療できるだけの判断力や技術が必要不可欠となるため、資格取得後すぐというわけにはいきません。
多くの場合はまず既存の治療院に就職し、経験を積んだ後に独立開業をめざします。治療の現場で対応の仕方を学んだり、研修会に出たりして勉強します。もちろん開業したからといって完璧というわけではなく、常に新しい情報を得たり、技術に磨きをかけることが求められます。独立開業のほかに医療分野からの求人もあり、リハビリテーション分野のスタッフとして、病院の整形外科などで活躍する人も増えています。
現在、人の健康に対する考え方は、「病気を治す」から「病気を予防する」方向へと変わりつつあり、「癒し」を求める傾向も強まってきています。本格的な治療を施す治療院のほか、手軽さが特徴のクイック・マッサージなどの需要もあります。そのため、あん摩マッサージ指圧師の仕事は、ますます重要度を増していくといえるでしょう。
あん摩マッサージ指圧師になるには、国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格は免許の種類や学歴などによっていくつかに分かれます。ここでは、これらの免許取得方法についてみていくことにしましょう。
あん摩マッサージ指圧師の資格を得るための国家試験には一定の受験資格が設けられており、条件を満たした者でないと受験することはできません。受験資格は厚生労働大臣や文部科学大臣が認定した学校・養成施設を卒業することで得られます。「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づいて定められた国家試験の受験資格は以下の通りです。
❶大学入学資格を有する者で、文部科学大臣が認定した学校または厚生労働大臣が認定した養成施設において3年以上、あん摩マッサージ指圧師に必要な知識および技能を修得した者。
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