救急救命士 めざせる学校を探す 資格の取得方法をみる

救急救命士とは…

急病や事故に出動し救急救命処置を行う

急病になった人、事故でけがをした人などのもとに救急隊員の1人として出動し、救急救命活動を行います。病院搬送までの適切な処置によって、症状の悪化や生命の危機を回避する重要な役割を担っています。

仕事の内容

心肺機能停止の傷病者に対し、救急救命措置を行う
救命率の向上をめざし処置範囲はさらに拡大

救急救命士が行える処置は大きく2つに分けられます。1つは医師の「包括的指示」(対応を一定の範囲で認めておく事前指示)のもとで行われるものです。
内容は、精神科領域の処置、小児科領域の処置、産婦人科領域の処置、除細動、自己注射が可能なエピネフリン製剤によるエピネフリン投与、血糖測定、心音・呼吸音の聴取、血圧の測定、心電計の使用による心拍動の観察および心電図伝送、鉗子・吸引器による咽頭・声門上部の異物の除去、経鼻エアウェイによる気道確保、血中酸素飽和濃度の測定、自動式心マッサージ器の使用による体外式胸骨圧迫心マッサージ、経口エアウェイによる気道確保、酸素吸入器による酸素投与、気管内チューブを通じた気管吸引など(一部省略)多岐にわたります。
もう1つは、医師の「具体的指示」(電話・無線などを通じた個別の指示)が必要なもので「特定行為」と呼ばれています。内容は、①乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液、②食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲルアルマスクおよび気管内チューブによる気道確保、③エピネフリンを用いた薬剤の投与(①〜③は心肺機能停止状態の患者に対してのみ行うもの)、さらに、2014年4月から④乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保および輸液、⑤低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与が行えるようになりました。

現状と将来の展望

2017 年中の救急自動車の救急出動は634 万2147 件、搬送人員は573 万6086 人で過去最多でした。救急車1台に救急隊員を3人以上配置することが定められ、総務省消防庁ではすべての救急隊に救急救命士が1人含まれる体制を目標にしていて、2018 年4月時点で救急救命士がいる隊は99.9%に達しています。将来的には複数の救急救命士を配置して、1人が気道確保しながら1人は薬剤を投与するといった処置ができることも望まれているため、さらに多くの救急救命士が必要になってくるでしょう。

資格の取得方法

救急救命士の資格を得るには文部科学大臣が指定した学校または厚生労働大臣が指定した養成施設で学んだ後、国家試験を受験する方法と、消防機関で救急業務に従事した後国家試験を受験する方法に大別されます。ここでは資格の取得方法をみていくことにしましょう。

国家試験の受験資格

  1. ❶大学入学資格を有する者で、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した救急救命士養成施設において2年以上、救急救命士として必要な知識および技能を修得した者。
  2. ❷大学などで1年(高等専門学校は4年)以上修業し、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、養成施設において1年以上、救急救命士として必要な知識および技能を修得した者。
  3. ❸大学(短期大学を除く)において厚生労働大臣の指定する科目を修めて卒業した者。
  4. ❹消防法に規定する救急業務に関する講習で「救急救命士法施行規則」に規定する課程を修了し、5年以上救急業務に従事した(あるいは2,000時間以上救急業務を行った)者(大学入学資格を有する者に限る)であって、養成施設において1年(救急救命士法施行規則に規定するものは6カ月)以上、救急救命士として必要な知識および技能を修得した者。
  5. ❺外国の救急救命処置に関する学校などを卒業した者または外国で救急救命士に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が❶〜❹に掲げる者と同等以上の知識および技能を有すると認定した者。

なお❷の厚生労働大臣の指定する科目とは、公衆衛生学、医学概論、解剖学、生理学、薬理学、病理学、生化学、微生物学、看護学概論、内科学、外科学、小児科学、産婦人科学、整形外科学、脳外科学、精神医学、放射線医学のうち13科目です。また❸の厚生労働大臣の指定する科目は❷の指定科目から医学概論と看護学概論を除き、臨床実習を加えた16科目です。

国家試験

国家試験は年1回、北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の5カ所の試験地で実施されます。試験科目は、以下の5科目です。
①基礎医学(社会保障・社会福祉、患者搬送を含む)、②臨床救急医学総論、③臨床救急医学各論Ⅰ(臓器器官別臨床医学)、④臨床救急医学各論Ⅱ(病態別臨床医学)、⑤臨床救急医学各論Ⅲ(特殊病態別臨床医学)。

平成30年度の国家試験の受験者数は3,105人、合格者数2,854人、合格率91.9%でした。

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