小学校は、義務教育の最初の6年間を担う学校であり、「学校教育法」では「心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする」と定められています。
また、同法では小学校教育の目標として、①学校内外の社会生活の経験に基づき、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主および自立の精神を養うこと、②郷土および国家の現状と伝統について、正しい理解に導き、進んで国際協調の精神を養うこと、③日常生活に必要な衣、食、住、産業などについて、基礎的な理解と技能を養うこと、④日常生活に必要な国語を、正しく理解し、使用する能力を養うこと、⑤日常生活に必要な数量的な関係を、正しく理解し、処理する能力を養うこと、⑥日常生活における自然現象を科学的に観察し、処理する能力を養うこと、⑦健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること、⑧生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸などについて、基礎的な理解と技能を養うこと、を掲げています。
小学校教諭は、教科や生活面、行事などの指導を通じて、こうした目標の達成をめざし、子どもたちの心身の成長を促していく重要な役割を担っているのです。
発達段階にある子どもたちを総合的に把握し、
一人ひとりの能力や個性を引き出す
小学校教諭は通常、学級の担任になります。そして、その学級の子どもたちに、1人で全教科(国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育の9教科)を教えるのが特徴です。2020年度からは外国語が教科に加わります。また、プログラミングを算数や理科などの時間に教えることになります。これらについては、高学年では特定の教科担任が、音楽、図画工作、家庭、理科、外国語、体育などを教えることもありますが、低学年では全教科を担当することが基本になっています。
これは、発達段階にある子どもたちを総合的に把握し、1人ひとりの能力や個性を引き出していくためには全教科を担当することが望ましいからです。また、学校にいる時間の大半を児童と一緒に過ごすことによって、教師と児童の信頼関係を築いていくことにもつながります。
小学校教諭の仕事で中心になるのは、やはり教科の授業です。年間の指導計画を踏まえて日々の授業を進めていきますが、たんにスケジュールをこなせばいいというものではありません。児童の理解度や関心の度合いなどとバランスをとりながら緩急をつけ、適切な学習進度になるように配慮することが重要です。また、児童は一人ひとり、理解力も知識も興味の持ち方も違います。そうした児童の個性を十分に理解したうえで、一人ひとりに、学習指導要領に定められた内容を確実に身につけさせていくことが求められます。
授業に対する児童の関心を高め、授業内容をより深く理解させるには入念な準備も必要になります。指導書や学習書に目を通し、板書計画を立てておくことが欠かせません。そして、特に小学校の場合は、教材研究がとても重要になります。教科書に書いてあることを読み、板書するだけでは、児童の関心を引き出すことは難しいからです。わかりやすい図表やプリント、場合によってはビデオをつくり、数などの抽象的なことを理解しやすくする教材を考えるなど、教科の特性を踏まえた教材研究によって児童の関心を高め、理解を促していくことが大切です。
しかし、小学校教諭の仕事は教科の授業だけではありません。たとえば、学級活動を通じて学校生活の充実や向上などを図ります。道徳教育も行います。給食では、当番のやり方、食事の仕方、片づけなどの指導をします。放課後にはクラブ活動の指導もあります。また、遠足、運動会、発表会などの行事の企画・運営もあります。さらに、校務分掌(教職員間での校務の分担)に基づく仕事も発生します。一方で、休憩時間や放課後などには教諭というよりも一人の人間として児童と触れ合い、話に耳を傾け、子どもたちの考えていることを理解するように努める姿勢も大切だといえるでしょう。
●専修免許状
●一種免許状
●二種免許状
●教員資格認定試験
上記のほかに、教員資格認定試験というものがあります。これは、文部科学大臣または文部科学大臣が委嘱する大学の行う試験で、合格すれば二種免許状を取得することができます。受験資格は、大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者、または大学入学資格を有する者で資格認定試験を行う年度の4月1日における年齢が満20歳以上になっている者です。
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