特別支援学校教諭 めざせる学校を探す 資格の取得方法をみる

特別支援学校教諭とは…

障害のある子どもたちを教育

日常生活や学習に困難をともなう障害のある子どもは少なくありません。そうした子どもたちを可能な限り自立・社会参加できるように指導するのが『特別支援学校教諭』です。

目や耳、手や足などの身体面、情緒面、知的発達の遅れ、またはそれらが重複したかたちで何らかの障害があるために、日常生活や学習に不自由・困難をともなう子どもたちがいます。こうした障害のある子どもたちの教育を担うのが特別支援学校教諭です。
以前は、視覚障害のうち重度な子どもを対象にする盲学校、聴覚障害のうち重度な子どもを対象にする聾学校、それ以外の障害を持つ子どもを対象にする養護学校がありましたが、2007年度から複数の障害種別に対応することのできる「特別支援学校」制度に転換されました。特別支援学校教諭には5つの障害の基礎知識と、1つ以上の障害についての専門知識が求められます。
特別支援学校教諭は、免許状自体は一本化されますが、
5つの障害に関する教育のうち「何を専門に学び」、「単位をどれだけ修得したか」によって、教えることのできる領域が定められます(1領域から全領域まで)。では、障害ごとの教育内容についてみていきましょう。

❶視覚障害

視覚障害の場合、一般の学校と同じように教科を教えることが中心になります。しかし、一般の視覚教材はそのまま使えないので、点字教科書、弱視の子どものための拡大教科書、一般の教科書を読む拡大鏡などを使用します。点字は、初めから読めるわけではないので、幼稚部や小学部から訓練を積み重ねていきます。また、白い杖を使って歩く訓練も低年齢時から行います。

❷聴覚障害

聴覚障害の場合も、基本的には一般の学校に準じた教育をしていきます。視覚教材は一般のものが使えますが、授業は口話と手話付き口話で進めることが多くなります。口話というのは、話している人の口の動きから話を読み取るものです。また、聴覚障害では、わずかに聴力が残っていることが多いので、それを生かすために補聴器を使う訓練をします。これは早いほどいいので幼稚部に入る前から始めることもあります。

❸知的障害

知的障害は、障害種別の中でも最も人数が多く、近年は増加傾向が続いています。教育内容は発達の状態によって異なります。幼稚部や小学部では、食事や衣服の着脱をはじめ日常生活を営むうえで必要な生活習慣を身につけさせ、言葉や数についても教えることが重要になります。中学部では、社会生活に必要なコミュニケーション能力を養うことが中心になり、言葉の理解力や表現力なども高めていきます。高等部では、家庭生活や社会生活に必要な知識・技術などの教育が中心です。

❹肢体不自由

肢体不自由というのは、手足や体全体を自由に動かすことができない障害で、知的障害や言語障害などが重複することもあります。中には医療的な支援を必要とする重度の状態の子どももいます。教育内容は、一般の学校と同様に教科が中心になります。知的障害などが重複している場合には、それに応じた指導方法をとります。そのほかに運動・動作の改善や向上を図るために、起立・歩行に関する指導、日常生活の動作に関する指導を行います。

❺病弱(身体虚弱を含む)

病弱というのは、慢性的な疾患などで長期的な医療や生活上の規制を必要としている子ども、体が虚弱で病気への抵抗力が弱い子ども、遺伝性の疾患のある子どもなどのことです。そのため病弱者を対象とする特別支援学校は、病院に隣接していたり、分教室を病院の敷地内に設けていたりするところもあります。教育内容は一般の学校とほぼ同じです。教科の授業が中心になり、自立活動が加わります。ただ、授業時間や行動に制約を受ける子どもが多いので、指導内容を精選し、教材や指導方法を工夫することが必要です。

特別支援学級

障害の程度が比較的軽い子どもたちのためには、一般の小・中学校に特別支援学級が設けられています。
これらの特別支援学級でも、各障害に応じた教育を行いますが、特別支援学校と違って特別支援学校教諭の免許状は必要とされていません。しかし、特別支援学級でも、障害そのものおよび障害のある子どもへの教育についての専門的知識は当然必要です。特別支援学校に限らず、障害のある子どもの教育に携わりたい人は、特別支援学校教諭の免許状を取得しておくことが望まれます。

免許状の取得方法

特別支援学校教諭の免許状を取得するには、「特別支援 教育教員養成課程に進学する」、「大学や短期大学を卒業後、特別支援教育特別専攻科や臨時教員養成課程に進学する」という2つのルートがあります。どちらも小学校、中学校、高等学校または幼稚園教諭普通免許状のいずれかを取得したうえで、特別支援教育に関する科目の単位を修得することが必要です。

免許状の取得ルート

●専修免許状

  1. ❶大学院の修士課程を修了し、小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教諭の普通免許状を有する者で、特別支援教育に関する科目を50単位以上修得した者。特別支援学校教諭一種免許状を持つ場合は、大学院で特別支援教育に関する科目24単位以上を上積みすればよい。
  2. ❷特別支援学校教諭一種免許状を取得した後、特別支援学校教諭として3年以上勤務し、大学において15単位以上修得した者で、教育職員検定試験に合格した者。

●一種免許状

  1. ❶大学を卒業し、小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教諭の普通免許状を有する者で、特別支援教育に関する科目を26単位以上修得した者。
  2. ❷特別支援学校教諭二種免許状を取得した後、特別支援学校教諭として3年以上勤務し、大学において6単位以上修得した者で、教育職員検定試験に合格した者。

●二種免許状

  1. ❶小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教諭の普通免許状を有する者で、特別支援教育に関する科目を16単位以上修得した者。
  2. ❷小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教諭の普通免許状を取得した後、相当する学校の教諭として3年以上勤務し、大学において6単位以上修得した者で、教育職員検定試験に合格した者。

●特別支援教育特別専攻科・臨時教員養成課程

「特別支援教育特別専攻科」の入学資格は、大学卒業者で小学校、中学校、高等学校、幼稚園の教諭の普通免許状所有者、または短期大学などの卒業者で上記学校などの一種または専修免許状所有者。修業年限は1年間。通常は特別支援学校教諭一種免許状の取得をめざします。
「臨時教員養成課程」の入学資格は、小学校、中学校、高等学校または幼稚園の教諭の普通免許状を持つことです。大学卒業という条件はないので、短期大学などで普通免許状を取得した人も、この課程で学ぶことが可能です。ただ、大学卒業者はこの課程で特別支援学校教諭一種免許状を取得できますが、大学卒業者以外は二種免許状になります。修業年限は1年間です。

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