保育士 めざせる学校を探す 資格の取得方法をみる

保育士とは…

保護者の代わりとなって児童を保育

保育士とは「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と法律に定められています。かつては女性の独占職業で「保母」(男性の場合は通称「保父」)と呼ばれていましたが、男女雇用均等法および児童福祉法の改正に伴い、2003年度より「保育士」の名称に統一、同時に国家資格となりました。

保育士の仕事は、保育所や児童福祉施設などにおいて、子どもたちの育ちを支援することですが、豊かな愛情のなかで心身とも健やかな成長を支えるには、保護者や地域の人々との協力が欠かせません。子どもたちは一人ひとり生活環境が異なります。そのため保育士は保護者のおかれている状況や意向を受け止め、保護者とより良い協力関係を築きながら、子どもたちの成長を支えたり、子育てを支援していかなければなりません。このほか、地域の人々や関係機関と連携して、地域全体で子どもを育てていくための環境づくりも大切な仕事です。

同じく幼児を対象とする幼稚園教諭は「学校教育法」に基づき、満3歳から小学校就学前までの幼児を対象とする教育の専門家です(「幼稚園教諭」のコンテンツを参照)。

年齢に応じた生活習慣を身につけさせ、
子どもたちの「育ち」を支える

保育士とは「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と児童福祉法に定められています。「児童」とは0歳〜18歳未満のすべての者。保育士は、その児童の保育を行う専門家で、職場は保育所をはじめ多岐にわたっています。

保育所の保育士

保育所は、仕事や病気などのために家庭で乳幼児を保育することが難しい場合、保護者に代わって保育をする施設で、対象は0歳児から小学校に入学するまでです。
保育士は通常、年齢によって分けられたクラスで子どもたちの保育をします。0歳の乳児や2歳までの低年齢児の場合、保育士の仕事は授乳や食事、午睡、オムツ替え、遊び、体調管理などが中心になり、子どもに基本的な生活習慣を少しずつ身につけさせていきます。そのような場面での声かけ、表情での呼びかけに対する0歳児の応答といった教育の要素も織り込まれています。
3歳児から5歳児は、さらに教育的な要素が多くなります。そもそも「保育」は「養護」と「教育」から成り立つもので、教育内容は厚生労働省の保育所保育指針に示された「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域(幼稚園教育要領とほぼ同じ)で構成されます。保育士は、年齢に応じた生活習慣を身につけさせるとともに、造形活動、音楽リズム、運動、遊びなどを通じて子どもたちの心身の発達を促します。
保育所は1日8時間の昼間保育が標準で、子どもたちは起きている時間の大半を保育所で過ごします。そのため、人格形成の基礎になる時期ということもあって、保育士が子どもに与える影響は大きく、責任があると同時にとてもやりがいがあります。子どもとかかわるうえでは主体性や瞬時の判断力などが求められ、一方で、職員や保護者とのコミュニケーション力も重要になります。

各種児童福祉施設の保育士

保育所(認定こども園の一部を含む)以外の児童福祉施設は、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、児童厚生施設(児童館、児童遊園など)、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターです。このうち助産施設、児童家庭支援センター以外は保育士と関係の深い施設です。母子生活支援施設、児童自立支援施設、児童厚生施設は保育士として働くわけではありませんが、保育士資格が採用要件の1つになっています。それ以外の施設は保育士として働く職場で、なかでも児童養護施設で働く保育士が多くなっています。
児童福祉施設は入所型も多く、その場合、子どもたちは施設で暮らしているので24時間、保育できる体制が必要です。保育士は3交替制や住み込みで子どもたちと生活を共にしながら、食事、着替え、入浴など生活習慣が身につくようにし、教育的な要素や遊び、運動、行事などを通じて子どもたちの心身の発達をうながし、家庭への復帰や将来の自立へ向けた支援をしていきます。

認定こども園の保育士

認定こども園は、教育と保育を一体的に提供する施設で4つの類型があります。幼稚園型は幼稚園に保育所的機能を加えたもの、保育所型は保育所に幼稚園的機能を加えたもの、幼保連携型は幼稚園的機能と保育所的機能をあわせ持つ単一の施設、地方裁量型は幼稚園・保育所の認可のない施設が自治体独自の制度などによって認定こども園の機能を果たすもの。保育士はどの類型でも働くことができ、仕事の内容は保育所と同じです。

現状と将来の展望

少子化社会ですが、保育ニーズはむしろ高まっています。たとえば待機児童数は、2018年にはそれまでの増加傾向から減少に転じましたが、2019年9月現在、まだ1万6,772人もいて、解消とはいえない状況です。また、地域の子育て家庭に対する支援もこれまで以上に求められています。
さらに、2006年からスタートした認定こども園が急増して、保育士の活躍の場が広がっています。この認定こども園のうち幼保連携型は2015年度から制度が新しくなり、職員は幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を持つ「保育教諭」と位置づけられました。ただ、2024年度まで特例措置が設けられ、どちらかの免許・資格だけでも保育教諭として勤務できます。その後は両方の免許・資格が必要になります。

資格の取得方法

保育士の資格は、いくつかの取得方法があり、認定こども園の制度改正に伴う特例なども設けられています。ここでは、資格の取得方法を中心にみていきましょう。

資格の取得ルート

保育士の資格を取得するには、①高等学校卒業後、大学、短期大学、専修学校などの保育士養成施設に進学し、所定の単位を修得して卒業する方法、②各都道府県が実施する保育士試験に合格する方法があります。 資格取得後の条件などはどちらも同じですが、一般的なのは①の方法です。養成施設では、専門知識・技術などを幅広く学べるのが大きなメリットであり、同じ道をめざす学生同士、刺激しあえるのも魅力の1つです。
保育士養成施設は厚生労働大臣が指定するもので、正式には「指定保育士養成施設」と呼ばれます。大学・短期大学も、学校や学科の設置は文部科学省が管轄していますが、養成施設になるには厚生労働大臣の指定を受けることが必要です。
どの保育士養成施設でも、所定の単位を修得すれば、卒業と同時に保育士の資格を取得できます。ただ、実際に保育士になるには登録をすることが必要です。卒業したのち、各都道府県が備える登録簿に登録すると保育士登録証が交付され、晴れて「保育士」になれるのです。
なお、資格取得ルートの1つに、養成施設の指定を受けていない専修学校における短大併修制度があります。これは、在籍する専修学校で学びながら、養成施設である短大の通信教育課程で学ぶものです。この制度を活用した資格取得を考える場合は、学び方、提携先、資格取得実績などをよく調べてみることが大切です。

幼稚園教諭が保育士資格を取得する特例

認定こども園のうち幼保連携型の職員は、2015年度から、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を持つ「保育教諭」と位置づけられました。2019年度末までの5年間はどちらかの免許・資格だけでも保育教諭として勤務できますが、その間に持っていない免許・資格を取得する必要があります。そのため、保育士資格取得の特例制度が2019年度末まで設けられました。対象者は、幼稚園教諭免許を有し幼稚園などで「3年以上かつ4320時間以上」の実務経験を有する者。保育士養成施設で学んだ後に保育士試験によって資格を取得することになっています
が、養成施設で指定の8単位(4教科)を修得すれば、試験は全科目免除(4単位修得などの場合は一部免除)になります。なお、この特例制度は、2019年6月時点で、2024年度末まで5年間延長することになりました。

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