福祉に関するさまざまな相談に乗るとともに、地域に必要なネットワークを構築。利用者およびその家族などの生活と権利を擁護するのが『社会福祉士』の仕事です。
編集協力/(公社)日本社会福祉士会 http://www.jacsw.or.jp/
利用者の相談に乗り、必要なサービスの情報を提供
具体的な利用のための支援を行う
社会福祉士は「専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう」と「社会福祉士及び介護福祉士法」第二条に定義されています。つまり、福祉に関するさまざまな相談に乗るとともに地域に必要なネットワークを構築し、利用者およびその家族などの生活と権利を擁護するのが社会福祉士の仕事です。
社会福祉士の仕事は、基本的には各施設・職場において、何らかの支援を必要とする人々に対し、社会的に自立ができるように手助けや助言を行ったり、適切な福祉サービスにつないだり、新たにサービスをつくるなどがあります。最も重要で、かつ日常的に行われるのが、総合相談という相談援助業務です。利用者の相談に乗り、必要なサービスの情報を提供し、具体的な利用のための支援を行います。利用者がどのような生活上の困難を抱え、どのような福祉サービスが必要とされているかをみきわめるニーズのアセスメントを行い、利用者自身が生活上の課題の解決にあたれるよう、社会的に活動できる力を高めていくような支援を行います。また、社会福祉施設の運営管理など福祉サービスのマネジメント、市町村地域福祉計画の策定への参画など、社会福祉士が手がける仕事の範囲は非常に幅広いものになっています。
たとえば、相談機関の社会福祉士の場合は、地域住民の相談を受けることから始まります。地域住民の話を傾聴し、問題点・課題点がみえてきたら優先すべき問題から具体的な援助方針を決定、必要に応じて各家庭を訪問します。福祉事務所などの相談機関を訪れる人々は日常の生活が困難なだけでなく、心理面での支援が必要な場合も多く、この支援も社会福祉士の大切な仕事になります。社会福祉士は、福祉サービスに関するニーズに沿うように、相談援助業務を一つひとつ的確にこなしていかなければなりません。
社会福祉士の職場は、①老人福祉施設や障害者支援施設、児童福祉施設などの各施設、②行政機関、③保健・医療機関、④教育機関、⑤社会福祉協議会、⑥地域包括支援センター、⑦民間企業やNPO法人、⑧独立開業など。このほか最近では労働や教育(学校等)、司法領域(刑務所・矯正施設等)などでも社会福祉士が配置され、活躍の場はますます広がっています。
最近の動向として注目しておきたいのが⑧で、「独立型社会福祉士」として事務所などを開業するという道です。「独立型社会福祉士」の仕事は、上記の①〜⑦のそれぞれの職場との連携・協働を基本としていて、たとえば、個人との契約による相談、援助や成年後見制度や介護保険制度などの公的サービスに関すること、福祉サービスを行う事務所についての第三者評価、大学や専門学校などの非常勤講師や実習指導等、多岐にわたります。
「社会福祉法」第五条、福祉サービスの提供の原則には「利用者の意向を十分に尊重し、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行いつつ、これを総合的に提供することができるようにその事業の実施に努めなければならない」とあります。ソーシャルワークの担い手としての社会福祉士の仕事は、今後、一層発展すると考えられます。
認定社会福祉士および認定上級社会福祉士は、社会福祉士としてのキャリアを積み、より高度な実践力を持つとして、認定社会福祉士認証・認定機構が認定する資格です。認定社会福祉士は社会福祉士として5年以上の相談援助実務経験と所定の研修を修了することなどが必要で、複雑なケースに対応し、職場のリーダーとして多職種とも連携して相談援助を行うことが期待されています。また、認定上級社会福祉士は認定社会福祉士の上位資格であり、認定社会福祉士として5年以上の実務経験に加え、研修や論文発表、試験を経て取得します。認定上級社会福祉士は地域のリーダーとして、また人材の育成・指導も期待されています。
2007年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が改正され、2009年4月1日から社会福祉士の資格取得方法が変更されました。これにともない、各養成施設で新しいカリキュラムがスタートし、社会福祉士国家試験の受験資格を取得するための履修科目数も増加しています。社会福祉士国家試験の受験資格は概略、次のようになります。
▼教育機関を選んでクリックしてください。(※別窓で一覧が表示されます)