「食」は人間生活の基本になるものです。『栄養士・管理栄養士』は、年齢や身体状況に応じた栄養の指導を行うことによって人々の健康増進や、豊かな食生活の実現を担っています。
年齢や身体状況に応じた栄養の指導を行い、
人々の健康増進や、豊かな食生活の実現を担う
乳幼児から育ち盛りの児童・生徒、成人、病気で入院している人、高齢者などあらゆる人々の生活と健康を栄養面から支えるのが栄養士・管理栄養士です。
栄養士は、「栄養士法」によって「栄養の指導」を業務とすることが定められています。管理栄養士は①傷病者の療養のために必要な栄養の指導、②個人に対する高度な専門的知識・技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導、③特定多人数に継続的に食事を供給する施設において個別的な配慮も含む高度な給食管理を行う、④特定給食施設に対する栄養改善上必要な指導などを行う、と定められています。
また、病院におけるNST(栄養サポートチーム)の普及、高齢者施設における栄養ケア・マネジメントの導入、栄養教諭の制度化(いずれも後述)などもあり、栄養士・管理栄養士の役割はますます大きくなっています。
病院での仕事は、栄養管理と栄養指導に大別されます。栄養管理では、医師の食事せん(患者ごとに食事の種類や栄養量などを記した書類)をもとにした栄養計画の立案とそれらにともなう種々の業務(献立作成、食材管理、調理・配膳指導等)などを行います。とくに、患者の栄養状態の把握とそれらに応じた一連の栄養管理は重要な業務です。制限のない一般食、塩分や糖分などに制限のある治療食、手術後の流動食など病状に応じた食事を提供しますが、少しでもおいしく食べることができるように工夫することも大切です。
栄養指導は、医師の指導のもと、糖尿病、腎臓病など長期的な食事療法が必要な入院患者や外来患者に対して行います。この栄養指導は管理栄養士が行います。なお、栄養指導に限らず病院では管理栄養士のウエートが非常に高いのが特徴です。
福祉施設のうち高齢者施設では、入所者や通所者のための栄養状態を的確に把握した給食管理(栄養ケア・マネジメント)を行います。内容は、栄養アセスメント、栄養計算、献立作成、食材発注、調理・配膳の管理などで、調理を行うこともあります。
保育所は、単独で栄養士・管理栄養士を配置することもありますが、多くは、自治体の役所に配置して複数の保育所を担当しているのが現状です。仕事は給食管理が中心ですが、近年、食育の関心も高まっています。また、おやつや延長保育に対応した夕食を用意する場合もあります。乳児を預かる保育所では離乳食も提供します。
学校では、仕事の中心は給食管理です。児童・生徒の成長を支えるために適切な栄養計算をし、献立をつくります。食材の発注、調理の管理、衛生管理、配食の管理なども重要な仕事であり、調理も行うことが多くなります。また、「食育」の一環として「給食だより」などを作成したり、教員とともに授業に参加したりすることもあります。
また、2005年度から配置されるようになった栄養教諭は、栄養士・管理栄養士の新たな活躍領域であり、本格的な食育を担う専門職として期待が高まっています。
企業の事業所でも栄養士・管理栄養士が活躍しています。仕事内容は、ほぼ給食管理になります。栄養計算、献立作成、食材の発注、調理の管理、衛生管理などを行い、調理まで担当する場合もあります。従業員の好みを把握したり、生活習慣病予防に気を配ったり、季節感を採り入れたりしながら食事を提供していくことが大切です。また、食生活に関する情報を従業員に提供したり、従業員の栄養相談に対応したりすることなども大事な仕事です。
行政分野では、保健所と市町村保健センターが主な職場になります。保健所では、ある程度広い地域の住民を対象にした栄養指導がメインになります。具体的には、どのような病気になる人が多いのか、食生活上の問題点は何かなど地域の実態を調査したうえで、問題点を改善するためのプランを立て関係機関などへ働きかけます。
特定の組織に所属するのでなく、独自に地域のために活躍している栄養士・管理栄養士もいます。フリー栄養士、自営コンサルタント(独立開業)、現役退職者などさまざまですが、自治体、病院、企業などからの依頼を受けて活動しています。また、大学や企業の研究者、栄養士養成施設などの教育者として活躍する人もいます。
栄養士の免許は、厚生労働大臣の指定した栄養士養成施設において2年以上、栄養士として必要な知識および技能を修得した者に対して与えられます。
管理栄養士の免許は、国家試験を受け合格すると取得できます。国家試験の受験資格は以下の通りです。
栄養教諭免許状の取得要件は以下の通りです。
修士の学位を有し、管理栄養士の免許を受け、「大学が独自に設定する科目」24単位(一種免許状を取得している場合。していない場合はさらに一種免許状に必要な22単位が加わる)を修得、など。
学士の学位を有し、管理栄養士の免許を受けているか管理栄養士養成施設の課程を修了し栄養士の免許を受け、「栄養に係る教育に関する科目」4単位など合計22単位を修得、など。
短期大学士の学位を有し、栄養士の免許を受け、「栄養に係る教育に関する科目」2単位など合計14単位を修得、など。
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