広告や雑誌といった制作物のビジュアルに関する指揮をとるのがアートディレクターです。消費者の目をひく広告や紙面をつくり上げるためにはどのように見せたらよいかを考え、伝えたいメッセージを効果的に表現する方法をアドバイスします。また、制作にかかわるコピーライターやグラフィックデザイナーなどのスタッフをまとめるのも仕事です。
部分的な描写を変化させた静止画をフィルムやVTRに1コマずつ記録し、連続再生することで動画として見せる手法をアニメーションといい、その制作を行うのがアニメーター。キャラクターデザイン、原画作成、動画作成といった工程を経て、作品を生み出します。基本的なデッサン力に加え、近年ではコンピュータグラフィックスの技術も求められます。
出版物や広告の中で使用するイラストを描くのがイラストレーター。商品のコンセプトや、コピーライターが考案したキャッチフレーズ、小説からつかんだイメージをイラストに置き換えられる想像力が必要です。最近はデザイン技法としてCGを利用する人も増えています。個性的な作品を描くためには、新しいテクニックを研究することも大切です。
グラフィックデザイン分野の中で、書籍や雑誌の記事ページのデザインを専門に手がけるのがエディトリアルデザイナー。文字や写真、イラスト、図表、グラフなどを使って、企画内容が効果的に見えるように誌面のレイアウトを行います。最近はビジュアル効果を重視する出版物が増えており、1冊すべてのデザインを任されるケースも多くあります。
主に児童を対象とした絵本をつくる仕事です。絵のみを担当する人もいれば、絵と文の両方を担当する人もいます。絵本は絵を通して物語を表現するもの。文字による表現は少ないため、明解な物語の構成力と、イメージを的確に伝える画力が必要です。作品を出版社に持ち込む、コンテストに応募するなどの方法を経て作家として独立する場合が多いです。
絵を描き、画廊などで個展やグループ展を開催し、そこで作品を売ることを仕事とするのが画家です。公募展に入選するなどして有名になると、絵画の売買を仲介する画商が作品の売り込みや売却手続きを行ってくれるようになったり、客の注文を受けて作品を描いたりするチャンスも期待できます。何より絵を描き続ける情熱が必要な仕事といえるでしょう。
草木の自然な姿を生かして空間を演出するのが華道家。心の豊かさを花に託して表現する芸術家です。仕事として華道に携わるには生け花教室の先生になるのが一般的。華道には多くの流派があり、自分の所属する流派で指導者の免状取得をめざします。華道の精神や作法を理解した上で独創的な生け方ができるようになれば、フリーでの活躍も期待できます。
ガラスを素材に、高温で成形したり装飾を施したりしてさまざまな工芸品を製作するのがガラス工芸家です。扱う範囲は花器や食器、調度品、教会のステンドグラス、アクセサリーなど幅広く、また地域によっては伝統工芸としてガラス製品の製作に携わる人もいます。きめ細やかな感性に加え、高温の炉の前での作業も多いため体力も必要な仕事です。
玩具デザイナーはおもちゃをデザインするのが仕事。子どもの年齢や発達の程度に合わせ、すこやかに想像力や知能を伸ばせるようなおもちゃづくりに取り組みます。子どもは五感をフルに使って遊びを楽しむため、色やかたちだけでなく、素材や大きさなどの質感にもこだわりが必要。デザインをはじめ、幼児・児童教育の知識があると便利です。
ゲームやアニメに登場するキャラクターを創作するのがキャラクターデザイナーの仕事。作品の企画書、仕様書をもとに作品の意図をつかみ、プランナーや制作監督との打ち合わせを経て、作品のイメージにふさわしいキャラクターを考えていきます。愛されるキャラクターを生み出すには、流行を先取りする鋭いセンス、オリジナリティが必要です。
ポスター、カタログ、新聞広告、雑誌の誌面、ダイレクトメールなどあらゆる印刷物のデザインをするのがグラフィックデザイナーです。与えられた企画テーマに沿って、文字や写真、イラストなどを効果的に使用し、また印刷に使用する素材の質感なども考慮し、見る人の印象に残るデザインを考案します。総合的なアート感覚が必要な仕事です。
小説、劇など作品のジャンルはいろいろありますが、どれも決して簡単に仕事にできるものではなく、また読者がつかなければ収入は確保できない厳しい仕事です。作家として成功するためには高度な文章力はもちろん、豊かな想像力が必要です。また、実体験が創作に生きることも多いため、好奇心旺盛にさまざまな経験を積むことも大切です。
茶事を通して、もてなしの心を伝承する専門家が茶道家で、数多くの流派があります。所属流派の「家元」と呼ばれる指導者のもとで修行を積み、指導者の免状を取得。そうすれば、茶道教室を開き、生徒をとって教えることができます。作法に沿って正しくお茶をいれる技術だけでなく、茶道の精神や礼儀なども含めて「茶の道」を究めていきます。
金、銀、プラチナなどを土台に、ダイヤモンド、真珠などをあしらって、指輪やネックレス、ブローチ、時計などを企画・製作するのがジュエリーデザイナーの仕事です。素材の持ち味を生かしたものをつくるには、素材の性質、製造技術に関する知識がなければなりません。デザインセンスはもちろんですが、流行に敏感であることも求められます。
オフィスビル、店舗、住宅などといった空間の照明計画を考えるのが照明デザイナーの仕事。空間全体の演出効果を考え、どこにどのような照明器具を設置すればいいかを照明プランの図面に表し、それをもとに施工担当者に指示を出します。照明が建築物のデザインに影響することもあるため、具体的なプランは建築士と相談しながら決めていきます。
墨と筆を使って、楷書、行書、草書などさまざまな書体の文字を書く書道家は、墨文字の美しさを表現する芸術家。書道とは、心を落ち着け、おだやかな精神で取り組むものとされることから、精神的な芸術ともいわれています。書道の師範として教室で指導する例が多いですが、実力がつき、知名度が上がれば、作品を売ることも可能です。
キッチン雑貨、食器、バス用品などといった日用品をデザインすることが生活雑貨デザイナーの仕事です。日常生活に密着している商品だからこそ、使い勝手がよく、見た目にも洗練されたデザインが求められます。使い心地や安全面に配慮し、かつ流行を意識した素材を選ぶことも大切。ライフスタイルの流行を捉え、個性的な商品を考案できる力が必要です。
金属を素材に、アクセサリーやさまざまな小物をつくるのが彫金師です。ジュラルミンという合金や銅板などを材料に用い、食器、燭台、装飾品といった伝統的な作品をつくる人もいますが、最近はシルバーを用いたアクセサリーをつくる人が増えています。金属の加工だけでなく、デザインも手がける人や、販売までを自ら行う人も多くいます。
木や石、金属、石膏などの身近にある素材を使って、立体的な創造物をつくるアーティストです。素材を彫り刻んだり、模様を刻んだりして、つくり手の意図や思いを表現します。さまざまな素材から芸術作品をつくり上げる創造力やセンス、表現力が求められます。都市計画プロジェクトなどの公共事業に参加して制作に携わる彫刻家もいます。
DTPとは「Desk Top Publishing」の略。電子データを用いて印刷・出版を行うという意味で、最近の出版業界で主流となっている手法です。DTPオペレーターは、エディトリアルデザイナーの描いたレイアウト指示を受け、文字や写真、イラストなどの要素を、パソコン上で効果的に配置。印刷に使用するための電子データをつくるのが仕事です。
デパート・専門店のショーウインドーや店内を、指定されたテーマ・コンセプトに沿ってデザイン・装飾するのがディスプレイデザイナーの仕事。店全体のテーマに応じてショーウインドーや店内装飾のイメージを決め、さらに消費者の購買意欲をそそるような空間に演出します。色彩や構成のバランスをみながら、人の目をひく空間デザインを考えていきます。
ろくろなどの伝統的な工法によって陶磁器をつくります。茶碗など日常的に使うものから、一点ものの壺や大皿まで種類はさまざま。土を選ぶ、こねる、窯で焼成する、絵付けを施すというように、その工程は多岐にわたり、すべてにおいて高い技術が必要。職人として独り立ちするには、芸術性を兼ね備えた独創的な作品づくりの腕が求められます。
商品の容器、包装を専門にデザインするパッケージデザイナー。複数の企業が同じような商品を販売した場合、容器や包装によって販売数に大きく差がつくことがあるほど、パッケージのデザインは商品の売り上げに影響を与えるものです。商品に個性を持たせるために、パッケージデザイナーは商品名の書体や色づかいに工夫を凝らします。
新聞や雑誌、Webなどに掲載される写真を撮影するのがフォトグラファーです。広告や雑誌の記事に使う写真を専門とする人や、事件や事故に関する撮影を行う報道専門の人など、被写体や手がける写真によって活躍の舞台は異なります。いずれの場合も、被写体を捉える目とシャッターチャンスを逃さないセンス、体力が求められる仕事です。
表紙、カバー、背表紙をはじめ、本の「外観」を美しくデザインするのがブックデザイナー(装丁家)です。本の表紙やカバーは本の売り上げを大きく左右するため、ブックデザイナーは「どうすればこの本を手にとってもらえるか」を考えて、タイトルの文字や色、写真やイラストの配置などをデザイン。デザインの知識・技術に加え、印刷の知識が不可欠です。
家電製品やキッチン用品、日用雑貨をはじめ、工業的に生産する製品のかたちや機能、色彩などを企画・デザインする人をプロダクトデザイナーといいます。扱うモノは大型家電から文房具まで広範囲にわたります。美しいだけでなく、大量生産が可能で、機能性や安全性、コスト面の問題もクリアしているデザインを考案することが重要です。
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絵と会話をコマ割りという手法で連続させて、ストーリーを展開していくのがマンガです。これを手がけるマンガ家は作品監督であり、シナリオライターでもあります。絵を描けるのはもちろんのこと、個性的な登場人物を創作する創造力、ストーリーやセリフの構成力などの能力も要求されます。成功するためには、独自の作風を確立させることです。
図面をもとに商品の試作モデルをつくる人をモデラーといいますが、主に四輪自動車や二輪自動車などの模型をつくる人を指すケースが多いです。カーモデラーであれば、車のデザイン画をもとに粘土などを用いて本物さながらの模型を製作します。コンピュータ上で立体化した完成予想図を描く「CGモデラー」として活躍する人も近年は増えています。
デザインから成形、石どめまで、金・銀・プラチナなどを材料としたアクセサリーを製作する能力を認定。1~3級があり、それぞれ学科試験と実技試験がある。
色彩に関する知識や技能を検定。1~3級があり、それぞれ学科試験と画材を用いた演習・実技試験がある。色の調和や効果に関する専門家として活用の幅は広い。
肖像写真の撮影、制作にあたる際に必要な技能を検定。1~3級があり、機材や感光材料、撮影技法などを問う学科試験と、作品制作を行う実技試験がある。
客がジュエリー商品の選択をする際に、購入や着用のTPOなどの相談に応じ、販売を行う技能を認定。1~3級があり、素材や製法、販売などについて問う。
DTP実務の技術と知識をはかる検定。コンテンツ理解力、デザイン能力、編集・レイアウト能力などの知識を問う。取得した認定証は、2年間のみ有効となる。
工業用図面や建築設計図などを清書する作業をトレースといい、その仕事をする上で必要な専門知識や技能の適応能力を判定するための検定試験。1~4級がある。
広告のデザイン文字や会社や商品のロゴ、映画のタイトル文字などをデザインすることをレタリングといい、これを美しく仕上げる技能を認定。1~4級がある。